クラウド型の動画配信システムのメリット・デメリット
一般向けのセミナーや社内向けの研修で、インターネットを利用して映像と音声を配信するシステムを導入する事業所が増えています。動画配信システムを利用すれば手軽にセミナーや研修会を実施できるので、多くの会社が導入しています。クラウド型の動画配信システムを利用する際は、メリットとデメリットをきちんと理解することが大切です。
クラウド型動画配信システムのメリット
クラウド型動画配信システムのメリットとして、導入費用(初期費用)が安い・短期間で導入できる・低コストで運用が可能・簡単に容量やオプションサービスが追加できる・PC以外のデバイスでもアクセスが可能、などが挙げられます。
クラウド型のサービスは自社でサーバーを設置したりソフトウェアを導入する必要がなく、設備の導入費用がほとんどかかりません。サービスによっては初期費用無料のケースもあり、アカウント数やデータ使用量に応じた月額利用料金を支払うだけで利用できます。
クラウド型のサービスに契約をすると、すぐに動画データを保存するディスクスペースや送受信に必要なシステム(ソフトウェア)が使えるようになります。そのため、契約を結んでからアカウント発行などをすれば、即日~数日程度でサービスの利用が開始できるでしょう。契約プランを変更したり追加オプションの申し込みをするだけで、簡単にオンライン上のデータスペース増量したりアカウント数を追加することも可能です。
オンライン上で配信される動画を視聴する方法として、PCのブラウザや専用のソフトウェアなどを使用します。PCに加えて、モバイル機器用のアプリが利用できるケースがほとんどです。アプリをインストールしたり簡単な設定をするだけで、スマートフォンやタブレット端末などのモバイル機器でも視聴が可能であるというメリットもあります。
クラウド型動画配信システムのデメリット
オンプレミス型と比較すると、クラウド型動画配信システムにはいくつかのデメリットが存在します。クラウド型動画配信システムのデメリットとして、機能面などの自由度が低い・セキュリティ面で不安がある・使用可能なシステムはサービスの提供元に依存する・アカウント数やデータ容量によってはコストが高くつく・トラブル発生時の対応がベンダー依存する、などが挙げられます。
クラウド型のサービスは運営会社によってあらかじめ用意されているサービスやセキュリティ機能を利用するので、自由に機能を追加できません。これに加えて外部のサーバーに配信するデータを保存したりモバイル機器でも受信が可能なので、セキュリティ面で不安があります。
配信される動画をPCやモバイル機器などで視聴する場合は、運営会社が指定するシステム環境を満たす機器やソフトが必要です。場合によっては最新式のパソコンやOSを用意しなければならず、旧式の機器では使用できない恐れがあります。
動画配信システムの利用料金はアカウント数に応じて決まるので、視聴者が多くなるとオンプレミス型よりも高コストになる恐れがあります。システム障害などのトラブルが生じて配信が停止したら、サービスを提供する運営会社が復旧作業を行います。オンプレミス型のように自社で対応できないため、夜間や土日・祝日にシステム障害が発生すると復旧が遅れて大きな損害が発生する恐れがあります。
クラウド型動画配信システムがおすすめなケースとは
クラウド型動画配信システムにはいくつかのメリットとデメリットがあるので、使用頻度・規模や目的などを考慮して導入するかどうかを判断する必要があるでしょう。この方式のサービスがおすすめなのは、講演会や研修会の規模が小さい・頻度が高くない・初期費用を節約したい・社内にインターネットやコンピュータの知識が豊富な人材がいない・スマートフォンやタブレット端末などのモバイル機器でも視聴できるようにしたい、などのケースです。
サービスを利用するための月額料金は発行アカウント数や動画配信の頻度・データ容量ごとに課金されるので、規模が小さかったりセミナーや研修会を実施する頻度が少ないような場合でも、無駄なコストがかかりません。これに加えて自前でファイルサーバーの購入・レンタルをしたりシステムを管理する必要がないので、ネットワークやコンピュータについての専門的な知識を持つ人材を持たない中小企業におすすめといえるでしょう。
これに対して頻繁にセミナーを開催したりアカウント数の多い大企業の場合は、オンプレミス型を導入した方がお得です。オンプレミス型の動画配信システムを構築してタブレット端末やスマートフォンなどのモバイル機器でも視聴ができるようにするためには、追加で専用のソフトウェアを導入したり煩雑な設定をする必要があります。クラウド型のサービスの多くはモバイル機器にも対応しているので、面倒な準備作業が不要です。
クラウド型の動画配信システムにはメリットとデメリットがあるので、使用頻度やアカウント数などの条件を考慮して判断をする必要があります。大企業などでオンプレミス型の動画配信システムの導入を考慮している場合でも、使用方法を習得する目的で試験的にクラウド型のサービスを活用する方法もあるでしょう。