動画配信システムは教育業界でも活用されている!有効利用するコツ
教育業界で今注目されているのが、動画配信システムです。ライブ配信を導入することで、臨場感のある内容を、遠隔地にも配信することができます。また、チャットなどを利用すれば、疑問点の解決など、双方向のコミュニケーションもとることが可能です。今回は、動画配信システムを有効利用するためのコツをご紹介していきます。
導入前にチェックすべきこと
これから動画配信に取り組みたいという方には、ライブ配信がおすすめです。比較的簡単な仕組みで、初期費用を抑えることができます。ただし、配信と同時に視聴ができることや、複数ユーザーからのアクセスに対応できる環境を整えておくことなどが必要となります。
5W2Hを活用する
まずは、5W2Hを活用して、導入目的やどんな効果を望むのかについて、明確にしておきましょう。運用がスムーズになり、トラブルを回避することができます。5W2Hとは、「Why」「What」「Where」「When」「Who」「How」「How Much」の7つの要素のことです。
「Why」はなぜ、何のために、という目的や理由、目指す効果のことです。「What」は、改善したい問題や課題、実現したい内容のことです。「Where」はどこか、という場所や対象とする範囲のことです。「When」はいつ、いつまでにというスケジュールや期限のことです。「Who」は誰に、誰が、という、対象および実現できる体制のことです。「How」は手段や方法、「How Much」は初期費用、ランニングコスト、編集費等の予算と費用対効果の試算をすることです。
ライブ配信サービスを選ぶためのチェックポイント8つ
5W2Hで目的を明確にした後は、その目的に沿って、運用にふさわしいライブ配信サービスを選定していきましょう。効果的な動画活用を継続して運用するために、以下の8つの項目を確認すると良いでしょう。
1つ目は、オンプレミス型か、クラウド型かということです。オンプレミス型は、動画配信に関わるサーバなどの設備を自社で導入し、運用する方法のです。独自機能を実装できたり、オリジナルデザインが適用できたりと、自由度の高いサービスを提供することが可能になります。また、大容量送信や、機密事項の高い情報を扱う場合にも適しています。
その一方で、サーバやネットワークなどのインフラ管理には、より高度な専門知識と社内リソースの確保が求められます。クラウド型は、サーバ、ネットワーク、ソフトウエアなど、動画配信に必要なリソースがすでに構築されており、そのサービスを必要に応じて利用する方法です。基本的な動画配信システムとサーバ容量がパッケージ化されているため、低コストで手軽に導入できるうえ、柔軟な運用が可能です。
2つ目は、マルチデバイス対応かどうかということです。利便性を高めるためにも、PC、タブレット、スマートフォンなど、さまざまなデバイスが使えるマルチデバイス対応が望ましいでしょう。
3つ目は、サービスの安定性です。特に重要なのは、ライブ配信の途中で途切れてしまわないことです。
4つ目は、双方向コミュニケーションへの対応ができるかどうかです。発信者と受信者が共有できるホワイトボードや、その場で質問が可能なチャット機能など、双方向コミュニケーションを可能にする機能の有無を確認しましょう。
5つ目は、配信規模への対応です。小規模配信なら、導入が手軽なパッケージサービス、大規模配信なら多様なニーズに対応可能なパッケージに加えて、セミオーダーが望ましいでしょう。
6つ目は、セキュリティです。違法ダウンロードや複製、改ざんといった被害に遭わないよう、利用者保護の面でも、コンテンツ保護の面でも、セキュリティには十分注意する必要があります。
7つ目は、料金体系と契約方法です。利用分に応じて料金が決まる従量課金が良いか、料金が一定で予算が立てやすい定額制が良いか、また、無料で試せるサービスがあるか、などといったことです。
8つ目は、使いやすさ、運用フォロー、サポート体制があるかどうかです。簡単に導入できるか、特別な機材を必要とするか、管理者も利用者も直感的に使えるか、管理ページが使いやすい設計か、サポート体制は万全か、また、ライブ配信を行うために準備するものは何かなど、確認しておく必要があります。
導入後にありがちなトラブル
実際に動画配信を始めてみると、さまざまな問題が浮上します。どんなトラブルが生じるのか、そしてそれにどう対応していけばいいのか、確認していきましょう。
トラブルの際の問い合せ先が不明
動画配信の際に、設定や使用方法が分からないという利用者がいた場合、どこに問い合わせたらいいのか分かると、スムーズに対応できます。
毎回撮影者が必要なため、人手が足りない
ライブ配信時には、撮影者などの人手が必要になってしまいます。撮影者がいなければ配信ができない、という事態にもなりかねません。そうならないように、最適なレイアウトとカメラポジションを探し、定点からの撮影にしましょう。発信者の表情や黒板などの見え方にばらつきが生じたりすることも防ぐことができます。
特定のスタッフしか使いこなせない
システムに詳しいスタッフがいなかった場合には、配信の設定ができない、ということがあります。そんなときは、撮影者や専門のシステム管理者が不要のオペレーション環境を配備するとよいでしょう。撮影に関しては、発信者がスイッチを押すだけで配信、録画が始まるものにすれば、撮影者を手配する必要もありません。
受信側のデバイスに対応していない
受信側のデバイスはPC、タブレット、スマートフォンなど様々です。デバイスに対応できず、ライブ配信が受信できないということがないように、マルチデバイス対応が望ましいでしょう。
通信環境が悪い
通信環境が悪いと、回線が途切れ、そのたびに配信が中断してしまいます。
一方的な配信になってしまう
動画は一方的に配信するのみなので、受信者の理解度が把握できないということがあります。チャットなどの双方向コミュニケーションツールはもちろんのこと、LMS(学習管理システム:Learning Management System)機能を備えることで、受信者一人ひとりの視聴状況や学習進捗、理解度を確認しながら、個別に適切なフォローが可能となります。
配信を視聴できなかった受信者へのフォローができない
ライブ配信している内容を自動的に録音、アーカイブ化できる仕組みがあれば、欠席等の事態に対応することができます。
動画配信を始める前に、5W2H等のチェックポイントを確認しておきましょう。また、配信を開始した後に生じる問題についても、対応策を考え、リスクを軽減しておく必要があります。どこにいても学習することができる環境を整えていくことは、利用者にとっても大きなメリットとなるでしょう。注意点を確認しながら、動画配信システムを活用していくことが大切です。